スバル・フォレスターの新車価格は、おおよそ400万円からスタートします。もちろん、グレードやオプションによって上下しますが、それでも同クラスの国産SUVと比べると、やや手頃な価格帯に設定されている印象を受ける方が多いでしょう。

たとえば、トヨタ・RAV4やホンダ・CR-Vなどの同等クラスの車種と比較すると、標準装備が充実していながら価格が抑えられている点がフォレスターの特徴です。アイサイトと呼ばれる先進安全機能や、四輪駆動（AWD）システムが全グレードに標準装備されているにもかかわらず、価格差は数十万円におよぶこともあります。

この「コスパの良さ」が、購入を検討する人にとって大きな魅力となっているのです。見た目や装備だけでなく、安全性や実用性を重視したいという層には、まさにうってつけの一台といえるでしょう。

フォレスターは新車だけでなく、中古車市場でも「安い」と感じられることが多いモデルです。その背景には、流通量の多さとモデルチェンジの影響が関係しています。

流通量が多いため価格が落ちやすい

フォレスターは、国内外での販売台数が非常に多い車種です。その結果、中古車として市場に出回る数も自然と多くなります。供給量が多いと、価格競争が起きやすくなり、結果的に中古車の相場は下がりやすくなるのです。

特に、リース車両や社用車として使われていた個体が市場に一気に出回ると、さらに相場が押し下げられる傾向があります。このように、市場の動きに敏感な車種であるがゆえに、安く手に入れられる可能性が高まっているのです。

モデルチェンジとリセールバリューの関係

スバルは比較的短いスパンでモデルチェンジを行う傾向があります。新型が登場すると旧型モデルの価値が一気に下がりやすいため、それも中古車価格に影響します。

また、スバル車は機能性を重視している分、見た目の派手さや内装の豪華さではライバル車に劣ることもあります。そのため、「感覚的な満足感」よりも「実用性」を重視する人に選ばれる傾向が強く、リセールバリューはあまり高くないとされているのです。

フォレスターは新車・中古車ともに価格が抑えられており、一見すると「お得な買い物」に思えるかもしれません。しかし、購入を検討する際には、価格以外にも目を向けるべきポイントがあります。

グレード差とオプションの見落とし

まず注意したいのが、グレードによる装備の違いです。フォレスターはベースグレードでも十分な安全性能を備えていますが、上位グレードに比べると快適装備や先進機能が省かれていることもあります。

たとえば、ナビゲーションシステムやパワーシート、LEDライトなどはオプション扱いの場合も。中古車で安価な個体を見つけた場合、こうした装備が省略されている可能性があります。価格だけで判断せず、装備内容を一つひとつ確認することが大切です。

維持費や修理費で差が出ることも

もう一つの見落としがちな点は、維持費です。スバル車に多く採用されている水平対向エンジンは、構造が独特なため、修理やメンテナンス費用がやや高くなる傾向があります。

また、四輪駆動システムを標準搭載している分、タイヤやブレーキの消耗も早いとされ、消耗品の交換サイクルも短くなる可能性があります。つまり、「車両本体価格は安かったけど、維持費が予想以上にかかった」と感じるケースもあるのです。

価格の安さに惹かれるのは自然なことですが、「長期的に見たトータルコスト」での判断を意識しておきましょう。

フォレスターが「安い」と感じられる理由は、単なる価格の低さだけではありません。豊富な流通量、モデルチェンジによる中古価格の下落など、さまざまな要因が複合的に絡み合っています。

それでいて、安全性や走破性といった基本性能には一切妥協がありません。必要な機能がしっかりと備わっており、実用的な一台として非常に信頼できる存在です。だからこそ、「安いから買う」のではなく、「賢く選ぶことでお得になる」――そんな感覚がぴったりかもしれません。

とはいえ、グレードや装備、維持費といった点には注意が必要です。価格だけに目を奪われず、しっかりと中身を見極めることが、後悔のないカーライフにつながるでしょう。