車は便利で生活を豊かにしてくれる存在ですが、「欲しいけど買えない」という声も少なくありません。その理由は人それぞれ異なりますが、大きく分けるといくつかの共通したパターンがあります。

お金が足りない（初期費用・維持費が不安）

もっとも多いのが「まとまったお金が用意できない」というケースです。車の購入には車両本体価格だけでなく、自動車税・自賠責保険・登録手数料・リサイクル料などの初期費用がかかります。

さらに、購入後もガソリン代・保険料・駐車場代・車検などの維持費がかかるため、「なんとか買えてもその後が不安」と感じてしまうのは当然のことです。

ローン審査に通らない

「分割で払えば大丈夫」と思っても、ローンの審査に通らないというハードルもあります。
クレジットカードの延滞歴や、過去の債務整理などが影響することもあれば、単純に収入が少なくて月々の返済能力が不足していると判断されることも。

審査に落ちるたびに「自分には車を持つ資格がないのかも…」と感じてしまう方もいますが、これは個人の価値とは無関係な制度上の問題でもあります。

非正規雇用・無職・学生など社会的信用の問題

収入の安定性が重視される自動車ローンでは、非正規雇用・フリーランス・アルバイト・学生・無職といった属性は、どうしても審査が厳しくなりがちです。

特に就職したばかりだったり、転職後間もなかったりする場合は、収入があっても審査が通らないことがあります。「今後の収入が見込めても、信用情報が育っていない」という理由での否決も珍しくありません。

一時的に必要だが購入に踏み切れない

「親の介護で一時的に車が必要」「子どもの送り迎えにしばらくの間だけ使いたい」など、期間限定のニーズもあるかと思います。

このような場合、「買ってもすぐ手放すことになるかも」「その間だけのために大きな出費は難しい」と感じてしまい、購入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

必要だけど、買えない――そんな“狭間”にいる人が実は少なくありません。

「車が買えない＝車を持てない」と思い込んでいませんか？
実は今の時代、“購入”以外にも車を利用する方法がいくつもあります。ここでは、代表的な選択肢をいくつかご紹介します。

カーリース｜所有せずに“借りる”という選択

カーリースは、毎月一定の料金を支払うことで車を借りて使えるサービスです。レンタカーと違い、車は契約者専用で、契約期間中は自分の車のように利用できます。

ポイントは、初期費用がかからず、車検・税金・メンテナンス費用が月額に含まれているプランが多いこと。まとまったお金が用意できない方や、ローン審査に不安がある方にとって、大きな安心材料になります。

最近では「リース審査がゆるめ」な業者や、中古車リース、短期リース、即日納車可などの柔軟なサービスも増えています。

カーシェアリング｜必要なときだけ使う新しいスタイル

毎日は使わないけれど、「週末や買い物のときだけ車があれば助かる」という方には、カーシェアリングがおすすめです。

スマホのアプリで近くの車を検索し、15分単位や1時間単位で利用できる手軽さが魅力。自宅近くにステーションがある場合は、思い立ったときにすぐ使える便利さがあります。

ガソリン代や保険も料金に含まれており、使った分だけ支払う明朗会計なので、家計管理もしやすいのがメリットです。

中古車購入｜初期費用を抑える現実的な方法

「やっぱり自分の車が欲しいけれど、新車は無理」という方は、中古車の購入も検討してみましょう。

最近は保証付き・低走行・整備済みの優良中古車が豊富に出回っており、数十万円台でも状態の良い車が手に入る場合があります。軽自動車やコンパクトカーなら、税金や保険料も安く済むため、維持費の面でも現実的です。

「中古車＝故障しやすい」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、信頼できる販売店を選べば十分安心して使えます。

軽自動車・EV・補助金活用も視野に

もし購入を視野に入れている場合は、軽自動車や電気自動車（EV）も候補に入れてみましょう。
これらは維持費が安く、自治体によっては補助金制度が活用できることがあります。

とくにEVは、国の補助金＋地方自治体の助成を併用できれば、数十万円単位で負担が軽くなる可能性も。さらに、ガソリン代がかからない点は長期的に見て大きなメリットです。

車が“買えない”という状況でも、「持てないわけではない」。
いまは多様なサービスが整っている時代です。自分に合った選択肢を探すことが、車のある生活への第一歩になるかもしれません。

車の持ち方にはいくつもの選択肢があり、それぞれに良い面・注意すべき点があります。ここでは、「カーリース」「カーシェア」「中古車購入」の3つを中心に、比較しながら違いを整理してみましょう。

月額・自由度・審査の有無などの違い

カーリースは「所有にこだわらないけど、いつでも使える車が欲しい」という方向き。
カーシェアは「月に数回だけ」「毎日は不要」という方にぴったり。
中古車購入は「自由に使いたい」「家族の送迎などで日常的に必要」という場合に向いています。

どんな人にどの方法が向いているか

• カーリースが向いている人
  →頭金ゼロで車を使いたい、ローンが通らなかった経験がある、維持費込みで月額を把握したい人
• カーシェアが向いている人
  →月に数回しか車を使わない、駐車場代を節約したい、短時間だけ使えれば十分な人
• 中古車購入が向いている人
  →長期的に車を使う予定がある、自由にカスタマイズしたい、ある程度の初期費用を用意できる人

自分の生活スタイルと目的に合わせて、最適な選択肢を選ぶことで、「車がない不便さ」から解放される手段は意外と多いのです。

「車が買えない」と感じるとき、それは“今すぐ買うことが難しい”という状況にすぎません。
視点を変えたり、準備を重ねたりすることで、未来の選択肢は大きく広がります。

まずは“本当に必要か”を見極める

「車があったら便利かも」と感じることは多いかもしれませんが、“あったらいい”と“必要”は別です。

毎日乗る？週に1回？公共交通で代替できる？――
まずは、自分や家族にとって車がどれだけ必要かを見つめ直すことから始めてみましょう。
「本当に必要な期間だけ」「使う曜日だけ」など、具体的に整理することで、購入よりもリースやシェアの方が合っていると気づくこともあります。

支援制度や自治体の補助金を確認してみよう

車の購入には、国や自治体からの補助金や助成制度が使えることもあります。
特に電気自動車や軽自動車では、数万円〜数十万円の支援が受けられるケースがあり、実質的な負担を大きく下げられる可能性も。

また、一部の自治体では子育て世帯や障がい者世帯向けに、移動手段支援の補助が行われていることもあるため、役所のホームページなどで一度チェックしてみる価値はあります。

家計の見直しから始めてみるという選択

車は高額な買い物ですが、逆に言えば「家計の流れを変えれば持てる可能性もある」ということです。

たとえば、月々のスマホ代やサブスク費用、保険料などを見直すだけでも、1万円以上の余裕が生まれるケースもあります。それだけで、カーリースの月額料金に手が届くこともあるのです。

大きな節約ではなくても、「ちょっとずつ」の積み重ねが、やがて「持てる」現実につながっていきます。

「車が買えない」と感じるのは、決して特別なことではありません。
経済的な理由、社会的な状況、あるいは一時的な事情……どれも、誰にでも起こりうる現実です。

でも今は、購入だけがすべてではありません。
カーリースやカーシェア、中古車という選択肢が当たり前になってきた今の時代だからこそ、車を「持たない自由」や「無理をしない所有」が実現しやすくなっています。

大切なのは、「自分の生活に合った方法で、車とどう付き合うか」を考えること。
それが、経済的にも精神的にも無理のないカーライフを叶える第一歩になるはずです。

車を諦めるのではなく、違う形で手に入れる方法を探してみる――
その気持ちが、あなたの暮らしをもっと自由に、もっと快適にしてくれるかもしれません。