ミライースは、2011年に「第3のエコカー」というキャッチフレーズでデビューし、軽自動車市場に大きな衝撃を与えました。

その開発コンセプトを知ることは、ミライースが安さを実現できた根源を理解することに繋がります。

低価格と低燃費の両立を目指したコンセプト

ミライースが目指したのは、誰もが手の届く価格で、環境にも優しい車を提供することでした。

それまでのエコカーは、ハイブリッド技術などで燃費を追求するあまり、車両価格が高くなる傾向がありました。

しかし、ミライースは、高価なハイブリッドシステムに頼らず、徹底した「シンプル化」と「軽量化」によって、低価格と優れた燃費性能を同時に達成しようとしたのです。

「シンプル＆エコ」の設計思想

ミライースの開発において、ダイハツは「必要なものだけを残す」という徹底した思想を貫きました。

この「シンプル＆エコ」の考え方は、車のすべての部分、つまりボディ構造、エンジン、内装、装備にまで及び、コスト削減と軽量化という二つの目標を同時に達成するための鍵となりました。

結果として、車全体の無駄を極限まで削ぎ落とすことに成功したのです。

ミライースの低価格は、決して安易なコストダウンによるものではありません。

車体構造から部品一つひとつに至るまで、緻密に計算された「ムダの削減」が積み重なった結果と言えるでしょう。

1. 徹底した「軽量化」によるコストダウン

軽量化は、燃費性能の向上に直結するだけでなく、材料費や部品点数の削減にも繋がります。

ミライースは、ボディの骨格構造から見直し、あらゆる部分で軽量化が図られています。

新設計プラットフォームによる効率化

ミライースは、専用に開発された軽量なプラットフォームを採用しています。

高張力鋼板（ハイテン材）を効果的に使うことで、強度を保ちながらもボディの重量を大幅にカットしました。

車体が軽くなることは、エンジンへの負担も減らすことになり、エンジン自体も小型化・シンプル化が可能になるなど、連鎖的なコストダウン効果を生み出します。

2. 部品点数の削減と簡素化

車の部品点数を減らすことは、製造コストだけでなく、組み立てにかかる時間や手間も削減することに繋がります。

共通部品の積極的な採用

ダイハツは、他の軽自動車モデルと共通の部品を積極的に採用しています。

部品を共通化することで、大量生産によるスケールメリットが働き、一つあたりの部品コストを大幅に下げることができます。

また、部品の在庫管理や生産ラインの効率化にも繋がり、間接的なコスト削減にも貢献しています。

内装・外装の徹底的なシンプル化

ミライースの内装や外装にも、コスト削減のための工夫が見られます。

例えば、インパネ周りはシンプルなデザインで、高級な加飾パーツなどはほとんど使われていません。

ドアの内張りやシートの素材も、実用性を重視した簡素なものが選ばれています。

これらは、ドライバーが運転に必要不可欠な機能以外を大胆に省くことで、製造コストを抑えることに繋がっています。

3. グレード構成の合理化

ミライースは、ユーザーが迷うことのないよう、グレード構成も非常にシンプルにまとめられています。

最小限の装備に絞ったベーシックグレード

最も安いベーシックグレードは、必要最低限の装備に絞り込まれています。

例えば、ドアミラーの手動格納や、後席ウィンドウの手動式（グレードによる）など、電動化の機能を省くことで、部品コストを抑制しています。

「移動手段」としての機能に特化することで、価格を極限まで抑えることを実現しているのです。

ミライースがこれほど安いと、「安全性や燃費性能が犠牲になっているのではないか」と心配になるかもしれません。

しかし、ダイハツは、車の根幹となる重要な性能については、決して妥協していません。

優れた燃費性能の確保

ミライースの低燃費は、高価なシステムに頼るのではなく、徹底的な軽量化とエンジンの高効率化によって実現されています。

軽量ボディと高効率エンジンの組み合わせ

車体が軽いため、わずかな燃料で効率よく走ることができます。

また、エンジン自体にも改良が加えられており、燃焼効率が高められています。

これにより、ハイブリッド車に匹敵する、高い燃費性能を実現し、維持費の安さにも貢献しています。

最新の安全装備「スマートアシスト」の搭載

低価格モデルでありながら、ミライースには最新の安全装備が搭載されています。

運転の安心感を支える先進技術

上級グレードでは、ダイハツの先進安全技術「スマートアシスト」を搭載しています。

これは、衝突警報機能や、誤発進抑制機能など、運転中のヒヤリハットをサポートする機能です。

安全は車の基本性能であるという考えのもと、低価格車であっても、最新の安全装備を提供しているのは、ユーザーにとって非常に安心できるポイントです。

ミライースの低価格の秘密を知ることで、この車を選ぶべきかどうかの判断基準が明確になります。

そのメリットとデメリットを整理してみましょう。

メリット：ミライースを選ぶべき理由

• 圧倒的な初期費用の安さ：新車でも手の届きやすい価格は、最大の魅力です。
• 非常に優れた燃費性能：ランニングコストを抑えたい方にとって、経済性の高さは大きなメリットです。
• 取り回しの良さ：軽量でコンパクトなボディは、狭い道や駐車場での運転、小回りが利く点で非常に優れています。

デメリット：事前に知っておくべきこと

• 内装の簡素さ：高級感や快適な装備を求める方には、内装のシンプルさが物足りなく感じるかもしれません。
• 静粛性：コストを抑えている分、上級の軽自動車と比べると、走行時のエンジン音やロードノイズが気になることがあります。

装備の限定：ベーシックグレードでは、快適装備（プッシュスタート、オートエアコンなど）が省かれているため、購入前に必要な装備があるか確認が必要です。