SUVスタイルの軽自動車として人気を二分するハスラーとジムニー。
どちらもスズキが誇る軽SUVですが、設計思想はまったく異なります。
ハスラーは街乗りでの快適性や燃費性能を重視しており、ジムニーは本格的なオフロード走行に耐えられる構造を持っています。
まずは、両車の基本スペックと価格帯から見ていきましょう。

スペックと価格帯

結論から言うと、ハスラーは「日常使いのしやすさ」、ジムニーは「走破性の高さ」が強みです。

ハスラーは全長3,395mm・全幅1,475mmと軽自動車規格いっぱいのサイズ。
エンジンは自然吸気（NA）とターボの2種類があり、燃費性能では最大25km/L前後を記録します。

価格はグレードにもよりますが、おおよそ150万円台から200万円前後が中心です。

一方ジムニーは、伝統的なラダーフレーム構造を採用。
軽自動車ながら、本格四輪駆動（4WD）システムを備えています。

全長は3,395mmながら全高1,725mmと高く、最低地上高も205mmとハスラーより高め。

価格帯は約190万円から215万円ほどとなり、やや高めに設定されています。

サイズ感と室内空間の違い

サイズの数字だけを見ると似ていますが、室内空間の作りは大きく異なります。

ハスラーはスクエアなボディ形状で、天井が高く、後席も広々とした印象です。
荷室もフラットにできるため、買い物やキャンプ用品の積み込みがしやすい構造になっています。

対してジムニーは、オフロード性能を優先した設計です。
車体後方にスペアタイヤを装備しており、荷室スペースはやや狭め。
ただし、リアシートを倒すことでフラットな積載スペースが確保でき、ソロキャンプなどには十分対応します。
また、ボディの剛性が高いため、悪路でも安心感があります。

多人数で荷物が多くなりそうな場合はハスラー、ソロキャンパーや悪路の運行が多い場合はジムニーの方が適切です。

ハスラーとジムニーは、見た目こそ似ていますが、走行性能の方向性はまったく異なります。
ハスラーは街乗り中心の快適性を追求しているのに対し、ジムニーは悪路走破性に特化した設計です。
ここでは、エンジン性能と駆動方式、そして乗り心地の違いを詳しく見ていきましょう。

エンジン性能と駆動方式

ハスラーは660ccの直列3気筒エンジンを搭載し、ターボ付きモデルでは軽快な加速を実現しています。
ハイブリッドシステムを組み合わせており、燃費の良さも魅力のひとつ。

FF（前輪駆動）と4WDの両方をラインアップしているため、都市部から雪国まで幅広く対応できます。

一方でジムニーは、660ccのターボエンジンを採用し、低回転域からしっかりとトルクを発揮。
副変速機付きパートタイム4WDを搭載し、悪路では圧倒的な走破力を誇ります。
岩場やぬかるみでも前進できる力強さは、軽自動車とは思えないほどです。

ただし、舗装路ではやや重厚な走りとなり、静粛性はハスラーのほうが優れています。

乗り心地と走行安定性

ハスラーはサスペンションが柔らかく設定されており、舗装路での走行は非常に快適です。
段差の衝撃も穏やかで、長距離ドライブでも疲れにくい印象があります。
ハイブリッドによる静かな加速も、普段使いにはぴったりです。

対してジムニーは、悪路での安定性を重視しています。
ラダーフレーム構造により車体の剛性が高く、でこぼこ道でもしっかりとした安心感があります。

ただし、その分サスペンションは硬めで、舗装路では振動を感じやすい傾向があります。

街中よりも自然の中でこそ、真価を発揮するタイプといえるでしょう。

ハスラーとジムニーのどちらを選ぶかを考えるうえで、燃費や維持費は大きな判断材料になります。
両車とも軽自動車であるため基本的な維持費は抑えられますが、燃費性能や整備コストには明確な違いがあります。
ここでは、日常的な走行コストと長期的な維持費について見ていきましょう。

燃費性能と経済性

燃費性能を重視するなら、ハスラーが圧倒的に有利です。

ハイブリッドシステムを搭載しており、WLTCモードで約25km/L前後を実現しています。
アイドリングストップ機能やモーターアシストにより、信号待ちや渋滞時の燃料消費を抑えられるのも特徴です。

一方、ジムニーは悪路走行に対応する四輪駆動システムを採用しているため、燃費は約14〜16km/L前後に留まります。
そのかわり、悪路でもしっかりと走れるトルク特性を備えており、燃費よりも走破力を優先した設計といえます。

街乗りメインならハスラー、アウトドア重視ならジムニーと、使い方によって価値が変わる部分です。

税金・保険料・メンテナンスコスト

どちらも軽自動車のため、自動車税や自賠責保険料などの基本コストは同程度です。

ただし、ジムニーは4WDの構造が複雑な分、部品交換やオイルメンテナンスの費用がやや高めになる傾向があります。

また、タイヤもオフロード向けのサイズを選ぶ場合、交換コストが上がる点にも注意が必要です。

一方のハスラーは、燃費の良さに加えてメンテナンスも比較的容易。
部品の流通量が多いため、修理費も抑えやすいというメリットがあります。

年間の維持費をできるだけ抑えたい方には、ハスラーのほうが適しているでしょう。

ハスラーとジムニーはどちらも個性的なデザインで知られています。
見た目の印象だけでなく、車内の装備や質感にもそれぞれの方向性が表れています。
ここでは、外観デザインと内装装備の違いを中心に紹介します。

外観デザインの特徴

ハスラーは「遊び心」と「親しみやすさ」を感じさせるデザインが魅力です。
丸目のヘッドライトやツートンカラーのボディが特徴的で、男女問わず幅広い層から支持を集めています。

街中に溶け込みながらも、アウトドアシーンにも似合うスタイリングが人気の理由です。

また、カラーバリエーションが豊富で、自分らしい一台を選びやすいのもポイントです。

一方でジムニーは、無骨で力強いデザインを採用しています。

直線的なボディラインと角張ったフォルムは、まさに“本格オフローダー”という印象。
スペアタイヤを背面に装備するスタイルは機能美を感じさせ、アウトドアを好む人に強く響きます。

ファッション性よりも、機能を重視した造形が魅力です。

内装と快適装備

ハスラーの内装は、明るくポップな雰囲気が特徴です。
インパネ周りはシンプルながらもデザイン性が高く、使いやすい配置になっています。

収納スペースも多く、スマホや小物を置く場所に困らない設計です。

上位グレードではシートヒーターや先進安全装備も充実しており、快適なドライブをサポートします。

ジムニーの内装は、実用性を最優先に考えられています。

インテリア全体は落ち着いたトーンで統一され、スイッチ類は手袋をしたままでも操作しやすい設計です。

防汚性の高い素材を使っているため、泥や砂が入りやすい環境でも気軽に使えます。

快適装備よりも、機能的でタフな作りが印象的です。

ハスラーとジムニーは、同じ軽SUVのカテゴリーに属していながら、求められるライフスタイルがまったく異なります。
日常の使いやすさを重視するか、アウトドア性能を優先するかによって、最適な選択が変わります。
ここでは、それぞれの車がどんな人に向いているのかを具体的に見ていきましょう。

ハスラーが向いている人

ハスラーは「街乗り中心だけど、遊び心のある車がほしい」という人に最適です。

軽量ボディとハイブリッドシステムにより、燃費が良く取り回しもしやすいのが特徴。
買い物や通勤、送り迎えなどの日常使いにも向いています。

また、カラフルなボディや可愛らしいデザインは、若い世代や女性ドライバーにも人気です。
最近では、車中泊仕様にカスタムする人も増えており、手軽なアウトドアにもぴったりです。

「普段の生活にちょっとした冒険をプラスしたい」という方にこそ、ハスラーはよく合います。

ジムニーが向いている人

ジムニーは「自然の中での走りを楽しみたい」人におすすめです。

悪路でも安定して走れる四輪駆動システムと高い車高があり、山道や雪道でも頼れる存在です。

また、耐久性が高く、長期間乗っても性能が落ちにくい点も魅力のひとつです。

デザインも無骨で存在感があり、アウトドアギアのように“相棒”として愛されるモデルです。

街乗りではやや硬い乗り心地ですが、その分どんな道でも進める安心感があります。

週末はキャンプや釣りに出かけたいというアクティブ派にぴったりの一台です。

ハスラーとジムニーは、どちらもスズキが誇る魅力的な軽SUVです。
しかし、それぞれの設計思想はまったく異なります。
それぞれを一言で表すなら、ハスラーは「街で快適に乗れるSUV」、ジムニーは「自然の中で頼れるSUV」。

どちらを選ぶか迷ったときは、「どんな場所で走ることが多いか」を基準に考えると良いでしょう。
街乗りならハスラー、冒険を楽しむならジムニー。
それぞれの魅力を理解したうえで、自分のライフスタイルに合った一台を選ぶことが大切です。