カーリースは契約期間中、リース会社から車を借りるという形式です。

基本的に毎月の支払い以外に料金が発生することはサービス上ないとしていますが、場合によって追加費用の支払いが必要です。

【カーリースにおいて追加支払いが必要なケース】

• 設定していた残価との差額が大きい場合
• 走行距離制限を超過した場合
• 原状回復が必要な場合

それぞれ詳細を解説します。

設定していた残価との差額が大きい場合

カーリース契約では、契約満了時の車の予想価値を「残価」として設定します。
そして、毎月のリース料は「車両本体価格」からこの「残価」を差し引いた金額を基に算出されます。

問題となるのは、車を返却する際の「実際の査定額」が、契約時に設定した「残価」を下回ってしまった場合です。

この差額分が、契約者に対して精算費用として請求されることがあります。

特に「オープンエンド方式」と呼ばれる契約形態の場合、残価が明確に契約者に開示されているため、査定額との差額が発生すると、契約者がその差額を負担することになることが多いです。

この「残価精算」が、返却時の追加費用の最も大きな要因の一つになるかもしれません。

走行距離制限を超過した場合

ほとんどのカーリース契約には、契約期間中の年間または総走行距離の上限が定められています。

この上限は、残価を設定する上での重要な要素です。
走行距離が伸びると、車の市場価値は一般的に低下するためです。

もし、返却時の走行距離が契約で定められた上限を超えてしまっていた場合、超過した走行距離に応じてペナルティ（追加費用）が発生します。

たとえば「1kmあたり〇円」といった形で超過料金が定められていることが一般的です。

遠方への移動が多い方や、日常的に車を使う機会が多い方は、特に注意して契約内容を確認し、日頃から走行距離を意識する必要があるでしょう。

走行距離制限がないカーリースもある

プランやサービスによっては走行距離制限がないものがあります。

距離を気にせずに車を利用したい方や、日常的に車を使う機会が多い方はこれらのサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

原状回復が必要な場合

カーリースでは、契約満了時に車を「借りたときの状態」に戻して返却する「原状回復の義務」があります。

この義務には、単に走行距離を守るだけでなく、車の見た目や装備の状態も含まれます。
多くの方が「これくらいは大丈夫だろう」と考えがちな部分が、思わぬ追加費用につながることも。

車体についた傷や凹みだけでなく、車内の匂いや汚れも原状回復の対象に含まれるため注意が必要です。

お子さんやペットを車に乗せることが多いご家庭の場合、原状回復が必要なカーリースでは気を遣う場面が多いかもしれません。

最終的に車がもらえるカーリースであれば、当然原状回復の必要はないため「契約満了後に車がもらえる」サービスを中心に探してみてはいかがでしょうか。

原状回復における追加費用の内訳として、車の外観や内部の状態、そしてカスタマイズの有無が大きく関わってきます。

内外装の「損耗・損傷」に対する費用

車を返却する際、リース会社は、車の内外装に「許容範囲を超える損耗や損傷がないか」を厳しくチェックします。

たとえば、日常の使用に伴う軽微な傷や汚れは「通常損耗」として許容されることが多いです。

しかし、バンパーの大きな擦り傷やへこみ、シートの焦げ付き、修復歴と判断されるような損傷などは、「原状回復が必要な損傷」と見なされます。
この損傷の修理費用が、そのまま契約者に請求される追加費用となるのです。

特に、小さな子供がいるご家庭や、ペットを乗せる機会が多い方は、内装の汚れや破損に注意が必要かもしれません。

リース会社が定める「損耗の許容範囲」は、契約書に詳しく記載されているはずなので、事前に確認しておくことが大切です。

契約に含まれない「カスタマイズ」の原状回復費用

カーリース車でも、自分好みにカスタマイズを楽しみたいと考える方はいるでしょう。

しかし、契約に含まれていない社外品の装着や、車の加工を行っていた場合、返却時にはそれらをすべて取り外し、「契約時の状態に戻す」必要があります。

たとえば、高性能なオーディオシステムや、エアロパーツ、特殊なホイールなどを装着していた場合、それらを元の状態に戻すための費用（部品代と工賃）は契約者の負担となることが一般的です。

また、元の部品を紛失してしまった場合は、新たに純正部品を購入して取り付ける費用も発生します。
カスタマイズを検討する際は、事前にリース会社に相談し、返却時に原状回復が容易か、または許容されるカスタマイズなのかを確認しておくべきでしょう。

カーリース返却時の追加費用は、事前の知識と日々の意識によって、大幅に減らすことが可能です。

「知らなかった」では済まされない事態を避けるために、契約前から契約期間中にかけて実践すべき具体的な対策を見ていきましょう。

最も重要なのは、「契約内容を正しく理解し、車を大切に扱う」という基本姿勢になります。

追加費用を抑える対策の核心は、「車の価値を下げないように管理すること」、そして「リスクの所在を明確にしておくこと」です。

契約前のチェックポイントと残価精算方式の確認

リース契約を結ぶ前に返却時のルールに関する項目を徹底的にチェックすることが、費用トラブルを避けるための最重要ポイントです。

特に確認すべきは、「残価精算方式」の種類でしょう。

残価が契約者から見えない「クローズドエンド方式」の場合、通常、市場価値の変動リスクはリース会社が負います。
そのため、クローズドエンド方式では査定額が残価を下回っても、契約者はその差額を請求されないことがほとんどです。

一方で、残価を契約者が負担するリスクがある「オープンエンド方式」の場合は、返却時の査定が重要になるため、より慎重に走行距離や車の状態を管理する必要があります。

また、「許容される損耗の範囲」についても、契約書で具体的にどのような傷や汚れが認められるのかを、営業担当者に確認し、メモに残しておくべきかもしれません。

契約期間中の適切なメンテナンスと丁寧な運転

日々の車の使い方そのものが、返却時の追加費用に直結します。
契約期間中の適切なメンテナンスと丁寧な運転を心がけることが、確実な対策になります。

車が最高の状態を保てるよう、オイル交換や定期点検などのメンテナンスを怠らないようにしましょう。
整備記録がしっかり残っている車は、査定の際にも高い評価を受けやすくなることもあります。

また、荒い運転は、タイヤの偏摩耗や車体の損傷、走行距離の伸びにもつながります。
急発進や急ブレーキを避け、余裕を持った丁寧な運転を心がけることで、車の状態を良好に保てるはずです。

内装についても、汚れたらすぐに拭き取る、シートカバーを使用するなど、手間を惜しまない管理が将来の出費を防ぐことにつながるかもしれません。

カーリースは、初期費用を抑えながら新しい車に乗れる便利なサービスです。

しかし、契約満了時の返却には走行距離の超過や車の損耗状況次第で追加費用が発生するリスクが伴います。

返却時の費用を最小限に抑えるための秘訣は、契約内容を理解すること、特に残価精算方式と許容損耗のルールを把握すること。

さらに、契約期間中は、車を「借り物」として大切に扱う意識が何よりも重要です。

日々の丁寧な運転と適切なメンテナンスを心がけ、返却時に慌てない準備をしておくことで、最後まで安心してカーライフを享受できるでしょう。