フェアレディZは国産車の中でも高性能なスポーツカーとして知られています。しかし、その走りを支える性能の高さが、維持費の面では少し重くのしかかることも。

ここでは、フェアレディZにかかる年間維持費の目安と、主な内訳を詳しく見ていきましょう。

年間の維持費の目安

結論から言うと、フェアレディZの維持費は年間40万円〜70万円前後が一般的です。これは走行距離や使い方によって差がありますが、スポーツカーとしては平均的な水準といえます。

例えば、通勤や週末ドライブなどで年間8,000〜10,000km走る人の場合、燃料代だけで10万円以上かかるケースもあります。

さらに、保険料や税金、定期点検費用を加えると、このくらいの金額になるわけです。

もし複数台所有している場合や、ハイグリップタイヤを使用している場合は、もう少し上振れする可能性もあります。

主な内訳（燃費・保険・税金・整備費）

フェアレディZの維持費を大きく分けると、

1. 燃料代
2. 自動車税
3. 任意保険
4. 車検・整備費
   

   この4つが中心です。

燃費は平均でリッター6〜8km程度。レギュラーガソリンではなくハイオク指定のため、ガソリン代は年間10万円を超えることが多いです。

自動車税は3.5LクラスのZ33/Z34で年間約58,000円前後。任意保険は30代以上でも年間8〜15万円前後が目安になります。

さらに、タイヤ交換やブレーキパッドなど、スポーツカー特有の消耗品がかさむ点も特徴的です。

他のスポーツカーとの比較

例えばトヨタのスープラやGR86などと比較すると、フェアレディZはやや維持費が高い部類に入ります。その理由は、排気量の大きさとハイオク仕様にあります。

一方で、輸入車のポルシェやBMWZ4などと比べると、部品代や整備コストはかなり抑えられます。

つまり、「国産スポーツカーの中では高めだが、輸入スポーツカーよりは安い」という位置づけです。

この点を理解しておくと、維持できるかどうかの判断がしやすくなりますね。

フェアレディZはそのデザインや走行性能の高さから、多くのファンを惹きつけています。しかし、ネット上では「維持が大変」「すぐ手放した」という声も少なくありません。

実際にどのような理由で「維持できない」と感じる人が多いのか、3つの要因に分けて見ていきましょう。

燃費が悪く、ガソリン代が高くつく

フェアレディZは3.5L〜3.7LクラスのV6エンジンを搭載しており、そのパワーは非常に魅力的です。

しかし、その反面で燃費の悪さが目立ちます。市街地走行ではリッター5〜7km前後しか走らないケースも多く、通勤や街乗りが中心の人ほどガソリン代がかさみます。

また、フェアレディZはハイオク指定であるため、レギュラーガソリン車と比べて1Lあたり10〜15円ほど高い燃料を使う必要があります。

長距離ドライブを頻繁に行う人や、年間走行距離が多い人にとっては、ここが最大の負担になりやすい部分です。

パーツや修理費用が高い

Z33やZ34などのフェアレディZは、走行性能を重視した設計がされています。

そのため、タイヤ・ブレーキ・クラッチといった消耗部品の交換サイクルが比較的早い傾向にあります。

例えばタイヤ4本の交換で10万円以上、ブレーキパッド前後で5万円前後かかることも珍しくありません。

また、年数が経過した中古車では、エアコンやセンサーなど電装系のトラブルも起きやすくなります。

パーツの純正交換は高価になりがちで、安く済ませたい場合は社外パーツを検討する人も多いようです。ただし、社外品を使用する場合は適合や耐久性にも注意が必要です。

保険料が高く設定されやすい

スポーツカーは保険会社から「事故リスクが高い車種」と見なされやすい傾向にあります。

フェアレディZも例外ではなく、任意保険の見積もりを取ると一般的なセダンより2〜3割高くなることが多いです。

特に20代〜30代前半のドライバーでは、年間で15万円前後かかるケースも。さらに、グレードや改造の有無によって保険料が上がることもあります。

このように、走行性能の高さがそのままコスト面のリスクにつながっている点が、「維持できない」と言われる一因です。

フェアレディZの維持費は確かに高めですが、ポイントを押さえれば負担を減らすことは可能です。ここでは、実際にオーナーが実践している節約の工夫を3つ紹介します。

どれも手軽に始められるものばかりです。

任意保険を見直す

保険料の見直しは、維持費削減に最も効果的な方法のひとつです。まず試してほしいのが、複数社の一括見積もりです。

フェアレディZはスポーツカー扱いのため保険料が高めですが、保険会社によってリスク評価の基準が異なります。

年齢条件や使用目的を正確に設定するだけでも、年間で2〜5万円ほど安くなることがあります。また、走行距離が少ない人は「年間走行距離割引」を利用するのもおすすめです。

保険内容を定期的に見直すことで、無駄な出費を減らしながら安心を確保できます。

車検や整備を工夫する

車検や整備は、ディーラー任せにするよりも信頼できる認証工場や専門ショップを活用することで費用を抑えられます。特にフェアレディZに詳しいショップでは、純正パーツよりも安価な互換部品を提案してくれることもあります。

また、車検のタイミングでまとめて整備を行うより、定期的に少しずつ点検しておくほうが結果的に安く済むことも。

「壊れてから修理」ではなく、「不調の兆しがあるうちに対応」することが、コストを抑える大きなコツです。

こまめなオイル交換やブレーキ点検も、結果的に修理費用を抑えることにつながります。

自分でできる日常メンテナンスを取り入れる

難しく考える必要はありません。例えば、タイヤの空気圧やエンジンオイルの量を定期的にチェックするだけでも燃費やパーツ寿命は大きく変わります。

月に1回程度の簡単な確認で、無駄な摩耗を防ぎ、結果として維持費の削減につながります。

洗車もガソリンスタンド任せではなく自分で行えば、年間数万円の節約になります。

また、愛車に触れる時間が増えることで、異音や違和感にも早く気づけるようになります。

これも「維持しやすいZオーナー」になるための大切な習慣のひとつです。

フェアレディZを長く楽しむためには、維持費の節約だけでなく、購入前の見極めや心構えも重要です。

ここでは、中古車選びのポイントと、長期的に所有するうえでの考え方を紹介します。

中古Zを選ぶ際の注意点

中古のフェアレディZは価格の幅が広く、状態によって維持費に大きな差が出ます。

まず確認したいのは**整備履歴（メンテナンス記録簿）**の有無です。

オイル交換や消耗部品の交換履歴がしっかり残っている個体は、購入後のトラブルが少ない傾向にあります。

また、安価な車両の中には改造歴があるものもあり、場合によっては保険に加入しづらくなるケースもあります。

Z33やZ34など年式が古いモデルは、エンジンマウントや足回りのブッシュ劣化が進んでいる場合も多いです。

購入前には、できるだけ信頼できる販売店で、試乗と点検を行ってから契約するようにしましょう。

趣味としての価値と割り切る考え方

フェアレディZは「実用車」ではなく、「趣味の車」としての性格が強いモデルです。

そのため、燃費や維持費だけを基準にすると、どうしても高く感じるかもしれません。

しかし、週末のドライブや所有する喜び、エンジン音や操作感など、日常では得られない満足感があるのも事実です。

このように、費用面だけでなく「心の満足度」も含めて判断することが、フェアレディZと長く付き合うコツです。

生活の中で無理のない範囲で維持できるバランスを見つけることが、何より大切といえるでしょう。

フェアレディZは、見た目の美しさだけでなく、走りそのものを楽しむためのクルマです。

確かに維持費は高めで、燃費も決して良いとは言えません。

それでも、エンジンの鼓動やステアリングを握った瞬間の一体感は、他の車ではなかなか味わえません。

維持費の負担を感じたときは、「なぜこの車を選んだのか」をもう一度思い出してみましょう。

Zを所有する喜びやドライブの楽しさは、コスト以上の価値をもたらしてくれるはずです。

保険や整備を見直すなど、現実的な工夫を積み重ねれば、フェアレディZとの生活は十分に続けられます。

スポーツカーの維持には、少しの情熱と計画性が必要です。

しかし、その分だけ愛着も深まり、「自分だけの一台」として特別な存在になります。

フェアレディZを長く楽しむためには、数字だけでなく“心の満足度”を大切にしていきましょう。