車を所有している限り、避けて通れないのが「車検」です。しかしその費用、毎回のように高く感じていませんか？

無駄な出費を抑えるためには、まず車検がどういった仕組みで、どんな費用が含まれているのかを知ることが大切です。

ここでは、車検の基本的な流れと費用の内訳をわかりやすく整理していきます。

車検の基本的な流れとは

車検（正式には「自動車検査登録制度」）は、車が安全に走行できる状態かどうかを定期的にチェックする制度です。新車は初回が3年後、以降は2年ごとに受けることが義務付けられています。

車検の流れはおおまかに次の通りです。

1. 事前の点検・整備（必要に応じて修理）
2. 車検本番（検査ラインでのチェック）
3. 新しい車検証とステッカーの交付
   

この一連の流れを、ディーラーや整備工場などの業者に任せるのが一般的ですが、自分で行う「ユーザー車検」もあります。

法定費用と整備費用、それぞれの違い

車検にかかる費用は、大きく分けて2つのカテゴリーに分けられます。

① 法定費用（どこで受けてもほぼ一律）

• 自動車重量税：車の重さに応じて課税される税金
• 自賠責保険料：対人賠償のための強制保険
• 検査手数料：国が定めた検査費用（印紙代）
  

これらは国に支払うもので、どこで車検を受けても基本的には変わりません。軽自動車の場合、これらの法定費用だけでおよそ25,000～30,000円程度がかかります。

② 整備費用・代行手数料（業者ごとに差が大きい）

• 点検整備費：ブレーキやライトなどの点検と部品交換
• 代行手数料：車検手続きを代わりに行ってもらうための手数料
  

こちらは業者によって大きく変わる部分で、節約の余地があるのがこの「整備費用」と「代行手数料」です。

どこが節約できるポイントなのか？

車検費用を抑えるためには、「法定費用以外」に注目するのがコツ。とくに以下の点をチェックすることで、無理なく費用を削減できます。

• 整備内容は本当に必要か？
• 自分でできるメンテナンスはないか？
• 車検を依頼する場所を比較しているか？
  

このように、車検にかかるコストの仕組みを知るだけでも、「どこでどう節約するか」が見えてきます。

車検はどうしてもお金がかかるもの…と思われがちですが、ポイントを押さえれば無理なく節約できます。

ここでは、誰でもすぐに実践できる「車検費用を安くする5つの方法」を紹介します。大きな手間をかけずに、安心感はそのまま、支出をグッと抑えるヒントをチェックしてみましょう。

① 複数の業者から見積もりを取って比較する

まず基本となるのが「見積もりの比較」です。車検の費用は業者によって大きく異なるため、1か所だけで決めてしまうのはもったいないことも。

特にディーラー、整備工場、カー用品店など、同じ車でも提示される金額は数万円単位で差が出ることがあります。

最近ではネットで簡単に一括見積もりが取れるサービスも充実しているため、数社の金額を比較したうえで、費用とサービスのバランスが良い業者を選びましょう。

② 車検専門店やガソリンスタンドのプランを活用する

最近では、「車検専門店」や「ガソリンスタンド」での車検も人気を集めています。

これらの店舗は大量の車検を扱っているため、手数料が安く、効率的な整備体制が整っていることが特徴です。

また、「早割」や「平日割引」などの独自キャンペーンを展開している店舗も多く、うまく活用すればさらにお得に。安くても法定点検はきちんと行われているので、「とにかくコストを抑えたい」という方にはおすすめです。

③ 必要以上の整備を避ける

車検の見積もりには、「今すぐではなくてもいい整備」が含まれていることもあります。

たとえば、「ブレーキパッドの交換」や「タイヤの交換」などが、まだ使える状態でも安全のために…と提案される場合も。

もちろん、安全第一ではありますが、必要性に疑問があるときは、整備士に「交換しないと通らないのか？」と確認してみましょう。車検に通る最低限の整備に絞れば、費用を大きく削減できるケースもあります。

④ ユーザー車検にチャレンジしてみる

費用を抑える方法として最も効果的なのが「ユーザー車検」です。

これは整備や検査の手続きをすべて自分で行う方法で、代行手数料や整備費用を大幅にカットできます。

とはいえ、ある程度の知識や段取りが必要になるため、初心者には少しハードルが高く感じられるかもしれません。ただし、ネットで手順が紹介されていたり、支援サービスを提供している地域もあるので、事前に調べておけば意外とスムーズに進められます。

⑤ 普段からメンテナンスしておく

意外かもしれませんが、日頃のメンテナンスが結果的に車検費用を安くすることにつながります。

たとえば、オイル交換やタイヤの空気圧調整、バッテリーのチェックなどを定期的に行っていれば、車検時に余分な整備をしなくて済む可能性が高くなります。

また、エンジンやブレーキまわりの異常を早めに発見できれば、大きな修理費を未然に防ぐことも。「車検直前だけ整備する」のではなく、「普段から車をいたわる意識」が、最終的に費用の節約につながるのです。

車検は、どこで受けるかによって費用もサービス内容も大きく異なります。

価格の安さを重視するのか、信頼性を重視するのか。それぞれの選択肢にメリット・デメリットがあるため、自分のライフスタイルや価値観に合った場所を選ぶことが重要です。

ディーラー車検｜安心感はあるが費用は高め

ディーラー車検の最大のメリットは「信頼性の高さ」と「整備品質の安定」です。

メーカーの正規技術を持つスタッフが点検・整備を行うため、安心感があります。また、部品交換の際にも純正部品を使用してくれるため、長く大事に乗りたい方には向いています。

ただし、他の選択肢に比べて費用は高め。点検項目が多く、予防的な整備も積極的に提案されるため、思わぬ出費が発生することもあります。

民間整備工場｜価格とサービスのバランスが魅力

地域密着型の民間整備工場は、「必要な整備を適切に行う」という現実的な対応が魅力です。

ディーラーに比べると料金は比較的安く、こちらの予算に合わせた相談もしやすいのが特徴です。

また、長年付き合いのある整備工場であれば、車の状態を把握したうえで必要最低限の整備を提案してくれることも多く、信頼関係を築ければ非常に頼りになります。

車検専門店・カー用品店｜短時間・低価格が特徴

車検専門チェーンやカー用品店の車検サービスは、短時間・定額制・低価格が特徴。法定点検をクリアするための必要最低限の整備を中心に行うため、時間もコストも抑えやすい選択肢です。

予約特典やネット割引なども活用しやすく、費用重視の方にはぴったり。

ただし、店舗によって整備の技術力や対応がばらつくこともあるため、口コミや評判を確認することをおすすめします。

ユーザー車検｜最安だけど手続きは自分で行う必要あり

「とにかく費用を抑えたい」という方にとって、ユーザー車検は最もコストパフォーマンスの良い方法です。整備や書類作成、陸運局への申請などをすべて自分で行うため、業者に支払う手数料はゼロ。

ただし、車の知識や事前準備が必要なため、初心者にはややハードルが高めです。とはいえ、手順はしっかり公開されており、チャレンジする価値は十分あります。時間に余裕があり、学ぶ意欲がある方にはおすすめです。

車検は、車を安全に乗り続けるために欠かせない制度です。しかし「毎回高い…」と感じている方にとっては、家計の大きな負担になることもあります。

だからこそ、しっかりと情報を集めて「無駄を省くこと」が大切です。

費用の内訳を知ることで、節約できるポイントが明確になり、見積もりの比較や店舗選びにも自信を持って臨めるようになります。また、普段からのメンテナンスが車検時の整備コストを下げてくれることも忘れてはいけません。

「安く抑える」だけでなく、「必要な安全はきちんと確保する」ことも大切な視点です。

費用だけに目を奪われず、自分にとって安心できるバランスを見つけていくことが、賢い車検の受け方と言えるでしょう。